アクセサリー

各機種への評価は、私の装置で鳴らしたものが基本になっています。音の好みも各人各様なので、このページの記述が普遍的なものであるとは毛頭考えておりません。あくまで、こういう評価もあるという一例としてご覧下さい。

▼ ヘッドアンプ

MCヘッドアンプ DENON HA-1000 (D)

MC型カートリッジは出力電圧が低いので、フォノイコライザーに入れる前にMM型並に昇圧する必要がある。昇圧手段として大きく分けて二つ、トランスとヘッドアンプがある。トランスは無茶な扱い(直流磁化)をしない限り基本的に経年劣化がない、或いは非常に少ないので喩え古くても信頼性が高いが、ヘッドアンプは回路素子(半導体や電解コンデンサ)が僅かずつながら劣化していくのが欠点といえば欠点だ。ただ、そんなことにあまり拘っても仕方がないし、それぞれカートリッジとの相性があるので最終的には好みで選択すればよいと思う。この機種は相当古いものだが、写真でわかるようにかなりの物量が投入されて非常にしっかりした りになっており重量がある。外部誘導ノイズ低減のため電源部が別筐体になっており、更に回路基板は全方向シールドされて念入りに製作されている。入出力のRCAコネクターはムクの削り出しで信頼性も高い。左写真下はシールド板を外して撮影したもの。本機は24dB、32dBと2段階の利得を装備しているので、全てのMCカートリッジ(特に出力の小さいもの)に充分対応できる。このように、アナログ全盛期に設計されただけあって、またDL-103を世に送り出したメーカーの良心的製品でもあり、非常に優秀である。このヘッドアンプを通すと今までとはいろんな意味で違った鳴り方になるので実に楽しい。

常用プリアンプ(テクニクス)のMCポジションとの比較

DENON DL-103

やはり同じメーカーということもあり、抜群の相性だ。バランスが非常に良くなるとともに響きが一層深くなる。DL-103は素で聴いても良いカートリッジではあるが、このヘッドアンプを通すと更に幸福になれるのは間違いない。

audio-technica AT-F3II

この安価なカートリッジの、どちらかというと薄味気味のキャラクターが、ふくよか(濃厚)な鳴り方に変わり大変好印象である。

audio-technica AT33LTD

低域が伸びて重心が下がる。高域は多少大人しくなる傾向だが、バランスは決して悪くない。鮮烈さはよく保たれているので相性としてはそれ程悪くはないと思うのだがもう一つ何かが欲しい。

Highphonic MC-R5

ピアノソロはちょっと元気がない感じがする。写真にたとえると1.5絞り分アンダーで撮影したリバーサルのような鳴り方で、鮮烈さが少し後退してしまう感じ。しかし、オーケストラになると生き生きとしてくる。音楽ジャンルによって表現が変わるところが面白い。

Victor MC-2E

大人しく地味な感じになってしまう。相性としてはあまり良くないのかも知れない。


総合的には、使用するカートリッジとの相性はあるが、ハイ上がり気味のカートリッジやフォノイコライザーの間にかますと落ち着いた鳴り方になるように思う。

▼ トランス

昇圧トランス audio-technica AT660T/OCC (D)

昔、秋葉原のオーディオショップで新品を見かけたのだが、丁度その時はアナログから離れていた事もあって購入を見送ってしまった。その後殆ど見かけることもなかったが、最近アナログが復活してきたためネットオークションで漸く中古品を入手することが出来た。売り主は動作確認できないのでジャンクということで出品していたが、こういうトランス類は余程無理をしてダメージを与えない限り大丈夫だろうということで落札した。幸い予想通りセレクターの接点に接触不良(ガリ)もなく電気的な状態はとてもよかった。ただ、外装に若干難があって美品とまではいかない。まあ、この点は中古なのである程度は仕方がない。電気的な性能さえしっかりしていれば外観は余り気にしない質(タチ)なのでこの程度のコンディションは全然OKである。結晶粒界が僅少であるPCOCC線材を使っているのも「スペックマニア」としては見逃せない点である。(笑)

本機は、MCカートリッジ用昇圧トランスで、3Ω・20Ω・40Ω・バイパスの4レンジがある。トランスの優れた点は電源が要らないことと、単なる巻線なので年月が経っても性能劣化しにくいことである。製品の寿命は、トランジスタや電解コンデンサなど経年劣化する部品を使っているヘッドアンプよりも遙かに長く、コイルの絶縁が破壊されない限りほぼ初期性能で使い続けることが出来る。但し、絶対にテスターなどでコイルの導通をチェックしてはいけない(直流磁化するため)。更にこの製品は、出力をケーブル直出しにしていないので使い勝手がよく、自分の好きな高性能ケーブルを自由に選択できるというメリットがある。

AT33LTDAT-F3II(20Ωポジション)を聴いてみたところ、さすがに同社製のカートリッジとは抜群の相性だと感じる。レンジが広く、明るく見通しがよい上、音場も広い。低域もよく出るが鈍重な感じは全くなく大変好ましい。AT33LTDは空間がぎっしり詰まったような充実感が素晴らしい。AT-F3IIとの相性も非常によく、このカートリッジが持つ若干の薄さが後退してはっきりくっきりした芯のある音になる。DL-103はかなりすっきりした鳴り方になって(40Ωポジション)、HA-1000を繋いだ時のような噎せ返るような濃厚さは後退してしまうものの、そのかわりに充実した低域を保ったままでキレの良い一皮剥けた現代的な感じに変化し、103の設計の古さを感じさせない点は非常に評価できる。DL-103は実はトランス受けの方がいいのかも知れないと感じた次第である(DENONのトランスだったらもっとよい鳴りっぷりになるかも知れない)。Victor MC-2Eは少しおとなしくなる傾向があるので、プリアンプ内蔵のフォノイコライザーアンプ直結の方が相性がよい感じがするけれど、フォノイコによって音質は千変万化するので一概には言えないところが悩ましい。MC-R5は躍動感がよく出て、尚且つうるさくならないところが大変よい。XL-MC1は全帯域で過不足なく元気よく快活に鳴るだけでなく、このカートリッジ独特の濃厚さがよく出て相性がよいと感じる。安価な割に素性のよいこのカートリッジの魅力を上手く引き出していると思う。MC-100Eは明るく元気で解像度がある。分離もよく音場も広いのでこのトランスとの相性は非常によいと感じた。


オーディオ・テクニカのこのトランスは基本的に同社製のカートリッジを基準に音作りされていると強く感じる。にも拘わらず他社のカートリッジにも柔軟に実によく対応し、しかも決して悪い方向にはならないのでCP比は非常に高い優秀機であると思う。MM(PASS)モードでも接点が増えてしまうことによる音質の劣化は特に感じられない。下欄にも書いたが、このトランスのおかげで私はすっかりトランス派になってしまったのである。(笑)


さて、上記DENONのヘッドアンプの「濃厚感」と、このトランスの「明快さ、鮮かさ」のどちらを選ぶか?と問われれば、自分は迷わず音質的に適応範囲の広いトランスを採る。HA-1000は、DL-103とは抜群の相性で、尚かつ信号増幅率の高さを考えると本当に捨てがたい逸品なのだが、地味な印象のDL-103より明るく派手?なAT33LTDの出番が多い上に、これ以上物の置き場所もないので、今後はオーディオ・テクニカのトランスが主役になるであろうということも考慮して、残念ながら手放すことにした。まあ、ヘッドアンプの方はさすがに製 されてから30年以上経過している機体なので、現在音質的には特に問題はないけれども、半導体やコンデンサーなど素子の宿命でどうしても若干の経年劣化はあるのだろうと感じてしまう。その点、劣化する部分の少ないトランスは有利である。ただ、そうは言ってもトランス、ヘッドアンプともに得手不得手があるのでTPOに合わせて上手く使っていくことが本当は大切なのだろうと考察する。

▼ DJミキサー

audio-technica AT-MX33G (D)

 別にDJプレイをするためではなく(笑)、安物?サブターンテーブル用のフォノイコライザーとして購入(現在はCS-M1に交代)。トップの板だけが金属製で本体は樹脂製筐体なので見た目よりは軽い。内蔵フォノイコライザーは、ヘッドフォン端子経由で聴くと低域が強めに出るが、ライン出力は少々薄味で、音場、ダイナミックレンジともリファレンスのプリアンプと比較すると一回りスケールダウンしてしまう。しかし5バンドグラフィックイコライザーがついているのでいろいろ遊べて楽しい製品である

COSMOTECHNO CS-M1 (D) 

  とにかく良品であることに間違いはない。このミキサーに内蔵されたフォノイコライザは某所で非常に評判が良いので、ものは試しにと買って聴いてみたところ、確かになかなか優れた音質である。上欄のオーディオ・テクニカ・MX-33Gは、音場、レンジとも多少狭くなってこぢんまりとした感じになるのに対して、本機CS-M1はスケールが大きくダイナミックで、高域、低域ともよく伸びており、音の分離も非常に良い。テクニクスのリニアトラッキングターンテーブルSL-6を繋いで針を落とした途端、出てくる音が良いので嬉しくなった。今まで箱庭的な鳴り方だと思っていたSL-6が現代音楽のオーケストラなど実に堂々としたスケール感を出し、標準搭載の(それ程高級とはいえない)MMカートリッジにも拘わらず、リファレンスのプリアンプに中級カートリッジを付けた場合と比べても殆ど見劣りしない程の鳴りっぷりになった。また、ベスタクスのリスニング用ターンテーブルであるBDT-2500に接続して試聴してみたが、BDT-2500の内蔵フォノイコの若干マイルドな音に比べて、このCS-M1は鮮烈さや上下の伸びという点で差をつけた。ヘッドフォン端子は僅かに音が厚くなる傾向があるが音の鮮度は高く全く不満はない。但し、ヘッドフォン端子とライン出力は独立した別系統の回路なので、フェーダーやボリュームノブが双方で連動しない。それ故、操作には慣れが必要である(最初はちょっと戸惑った)。

8000円台後半から~10000円位の実売価格から判断しても、とてもピュアオーディオ的に音質を極限まで突き詰めた製品ではないというのは当然としても、実際に音を聴いた限りでは満足度の高い製品である。音楽をできる限り(安価で)良い音質で普通に楽しみたい人は勿論のこと、ある程度音質に拘る人とってもこのミキサーは出色の出来だと思う。インジケーターは電源表示LEDのみでVUメーターすら装備しておらず実にあっさりとした、どちらかといえば安っぽい見てくれ、しかも発売ブランドも高級オーディオ的ではないので、本機の持つ良さがなかなか伝わらないのではないかと思う(しかし、見た目の軽さとは異なりシャーシはオール金属製で結構重量のあるしっかりした りである)。かく言う私も今まで積極的に入手しようとは全く思わなかったのである。価格からは想像できない程良質なフォノイコライザを2台も積んでいるので(フォノイコ1台につき4000円相当?)、コストパフォーマンスは圧倒的に高く、また音質が自分の好みのツボに嵌った事もあって今やサブシステムの中核となっている。フォノイコがこれだけ良いのだからCOSMO TECHNOブランドのターンテーブルにも大いに期待が持てる。メーカー、筐体の姿態に拘らない人にとってはCPは圧倒的に高いと思う。

▼ フォノイコライザー

 
AD-USB 本体


USB電源ユニット改造品(ほぼ AD-USB 専用)
単3電池×3本→単一サイズ変換ホルダー使用

アイ・オー・データ機器 AD-USB (C)

本機はフォノイコライザー付の録音専用 USB オーディオインターフェイスである(オーディオファイルの再生には別途オーディオインターフェイスかパソコン内蔵のオーディオ機能が必要)。

実勢価格は4000円弱で録音時のサンプリングレートの最大値は 48KHz 16bit なので、最新鋭の PC オーディオ・インターフェイスには若干見劣りはするものの、アナログディスクのデジタルアーカイブ化などの通常用途には CD 化を考えるならばこれで充分でありコストパフォーマンスは抜群に高い。フォノイコライザーの性能はこの価格では全く文句のつけようがなくフォノカートリッジの違いを能く表現してくれるので、1万円以下の単体フォノイコライザーを買うのであればこちらの方が(USB オーディオ・インタフェイス付という点でも)音質的にも良いだろうと思う。

本機のメリットは、フォノイコライザーのライン出力が直接出力端子(ミニステレオジャック)から出る事であり、例えば USB 端子に USB 電源アダプターを繋ぎさえすればホストコンピューターなしのスタンドアローンの状態で単体フォノイコライザーとして活用できる点が実に素晴らしい。電池式の USB 電源アダプターがあれば更にノイズの少ない高音質を狙うことも可能だ。私は、秋葉原の某店で購入した単3電池2本でUSB電源(5V)が採れるユニット基板の電池接点金具が製造不良で折れてしまったので、単1型電池2本用の電池ボックスをこのユニット基板に取り付けて大容量 USB 電源ユニットとして改造して使っているので、交流電源によるハムノイズとは無縁である。また、アースには専用の蓑虫クリップがついているのでプレーヤーのアース線と簡単に直接接続できる。このような安価なオーディオ・インターフェイスではアース端子が省略されているものが多い中で小型ながらもこの重要な部分が確りと装備されている点は高く評価したい。但し、環境によってはアース線を繋いでもハムノイズが減らず、逆に繋がない方がノイズが出ないケースもあるので、個々の状況によって接続の可否を判断するべきだろう。また、製品仕様書の建前上 MM 方式のカートリッジ専用ではあるが自分の環境ではトランスやヘッドアンプなしで国産 MC カートリッジの代表機種である DENON DL-103 にも余裕で対応できたのは嬉しい限りだ。そうはいっても高価なフォノイコライザーとはやはり音質差があるのは価格から考えても当然だが、鋭いアタックが鈍る事もなく充分なハイファイ音質を確保しているので普通に音楽を楽しむ分には本機の性能で充分だと思うし、何といっても実売価格が安いからたとえ本機の音質が気に入らなくても諦めがつくだろう。(笑)

メーカーの製品カタログでは従来型の 32bit OS にのみ対応との事であるが、64bit の Windows 7 でも問題なく使えた(但し、個々の環境によって動作状況は異なるので一切保証はしない事をご了承願います)。本機付属のソフトウェアでも一通りの事はこなせるが、唯一の欠点は、録音音量調整がしにくい点(ピークホールド機能がないのでピーク値の確認が困難)で、しかも入力信号が画面表示されるまでタイムラグがあるから少し使いにくい感じがする。また、64 bit OS での使用に際しては本ソフトウェア終了後でもメモリー内にプログラムが常駐していて、再度起動させようとしても起動できない場合があるので、タスクマネージャーからメモリー内に残っている本ソフトウェアを完全終了させてから再度立ち上げる必要がある。もし、本ソフトを一度終了した後に再び起動しない場合はタスクマネージャーで確認するようにお勧めする。しかし他にお気に入りのオーディオ編集ソフトウェアがインストールしてあるならば、勿論そちらも使えるので大きな問題ではないだろう。アナログ時代からのプレーヤーを持っているけれど現用のアンプにフォノイコライザーが装備されていない為アナログ再生が出来ないという人には価格の面からも音質の面からも最適だと思う。パソコン周辺機器メーカーの製品なのでオーディオ製品としては全く目立たないが優れた製品である。遙か昔のPC-98時代から Windows 7 の現在までの自分の経験から、アイ・オー・データ社のPC関連周辺機器やオーディオ・ビデオ関連製品には外れがなく、本機も音質がよくPCとの親和性も高いので、安心して使える良品だ。尚、私はアイ・オー・データ社の回し者でない事をここに付記しておく。(笑)

【追記】 上欄で高く評価したコスモテクノの DJ ミキサー CS-M1 は既に生産完了しており新品では入手できないので、 現行品であるこちらの AD-USB をお薦めしたい。音質も CS-M1 と比べて全く遜色ないし、再生環境によってはこちらの方が良い可能性も大いにある。無論音質については各人の好みによって評価が大きく変わるし、オーディオインターフェイスとしての再生機能は一切ない為、当記事とは矛盾するが決して万人にお薦めする訳ではないので悪しからずご了承願います。

audio_technica AT-PEQ3 (C)

MM 型カートリッジ専用の実売価格6000円くらいの安価なフォノイコライザーで現行製品である。安価であるにも拘わらず立派な金属製ケースに収納されていて品質的には全く問題がないし、音質に関しても外観同様に非常に立派なもので、価格を大きく超越していると思う。優秀録音のクラシックなどシビアな要求にも充分に応える実力を持っており、上欄で高く評価したコスモテクノの CS-M1 よりも更に良いと感じた。電源はACアダプター方式だが、特にノイズが乗る事もなく実に快適に使える。本体に電源スイッチがないのは少々残念ではあるが値段を考えれば仕方がないし、却ってスイッチ周りのトラブル(接触不良やメカニズムの不調)から解放されており、尚且つ未使用時には余計な電力を消費することがないと肯定的に考えるべきだろう(本体のスイッチがオフでもアダプターが常にコンセントに繋がった状態では微弱ながら無駄な電力を消費しているのである)。使い始めは多少大人しい( たい?)感じはするものの、使用時間の経過とともに明快で元気=鮮烈な音に変化していくように感じた。歪みは殆ど感じられずS/N比も全く申し分なく非常にクリーンな音で、出す部分はきっちりと出してくれるのでコストパフォーマンスは極めて高い。自分はオリジナル尊重主義者なので、本機に限らず原則的にメーカー製オーディオ機器の改造に関しては否定的である(中国製の未熟な設計のオリジナル製品は除く)。本機に採用されているオペアンプ IC は他の音響機器メーカーでも採用されているオーディオ用として充分実績があるものだが、マニアにはスペック的に我慢ならない品種らしく(笑)、即攻で換装してしまうようだ。しかし採用されたオペアンプに対して基本的に特化して設計されている筈だから、当該オペアンプの製 メーカーが公式に互換性を謳っている上位機種(例えば NJM5532DD → NJM2114DD )への換装ならともかくも、ただ音質が良くなりそうそうだという理由だけで製造メーカーやスペックが全く異なるオペアンプに換装したところで、最適な動作をさせるためには回路定数の根本的な変更が必要であり、とても俄マニアが簡単に手の出せる領域ではない。これは愚かにもネットの記事を参考にして、オーディオ用に最適化されたといわれる高価なオペアンプに換装したけれど却ってバランスが悪くなり聴くに堪えない音になってしまったという自分の経験(反省)に基づいている。優秀な設計者は「耳年増なだけで自己満足な机上の空論を弄ぶ 人」とは全く異なり、与えられたデバイスを確りと生かす術を知っているから決して侮るべきではないとつくづく思う。電解コンデンサー等の換装も同様で、オーディオ用を謳っているものに交換したからといって必ずしも音質向上に結びつくのかどうかは甚だ疑問だ。本機は普通に音楽を楽しむ分にはディフォルトのままで全く申し分のない性能であり、特に比較的安価な MM カートリッジ(シュアーのM44シリーズやテクニカやナガオカなどの入門機)との相性は抜群だと思う。しかしながら、トランスを介して中級以上の名だたる MC カートリッジと組み合わせてみても実に優秀なパフォーマンスを示すのは 晴らしい。安価に良質な音が欲しいという人にはうってつけだろう。本機のような優れた製品はディスコンにすることなく末永く販売して頂きたいと切に願う次第である。

▼ カートリッジ消磁器

SUPEX MD-22 (D)

MM型カートリッジ用ディマグネタイザー

カートリッジは磁気を応用したものなので、ある程度時間が経つとコイルを巻いてあるコア(鉄心)が帯磁してしまう。帯磁すると高域の再生能力が低下し詰まったような音になるのでこれを解消して初期性能に戻すために消磁が必要になる。カートリッジを入れる四角い枠の周りがコイルになっており、赤いボタンを押している間交流磁界が発生して、その磁力によりMMカートリッジのコアを消磁する。テープレコーダーのヘッドを消磁するように、カートリッジを徐々に引き上げていく必要がある。MMの交換針は根元に小さな磁石がついているので、この消磁器を使う場合は必ず針を外してから行う。カートリッジをヘッドシェルから外すのが面倒なので付けたまま消磁しているが、その場合は定格20秒~30秒を倍くらいにすると効果があるようだ。尚、ナガオカのMP型はボディーに強力な磁石があるのでこの消磁器は使えない、試しに針先のパーマロイだけ消磁してみると多少の効果があった。電源はAC100V。

LUXMAN XA-1 (D)

MC型カートリッジ用ディマグネタイザー

ヘッドシェルにつけたままコネクターを挿入して黒いボタンを押すと数秒間で自動的に消磁が完了する。空心より鉄心つきコイルの方が効果的。電源は006P(9V)乾電池。ボタンを押すだけなので簡単で使い勝手がよい。MCカートリッジの消磁については原理的には不要でプラシーボ的な側面がなきにしもあらずだが、これを使うと確かに音がすっきりするような気がするので定期的に使っている。(笑) オーディオは、やはりただ単に物理的な音を聴くというよりは、一旦人体(脳)というフィルターを通した結果の判断だと個人的に考えているので、本機のように原理的にはそうであるけれど実際問題としての効能が今ひとつはっきりしない機器を使う事は、実は全く意味がないようでいて「精神的聴覚(聴こえ方)」には非常に大きく影響するのかも知れないと「真剣に」考えている。(^^;

MC型の消磁には、フォノケーブルのRCA端子のホットとコールド(+と-)を短絡(ショート)させてごく短い時間レコードをかけるという方法もある(勿論アンプのフォノ端子からは取り外した状態で行う)。

▼ その他

アナログのアクセサリー類はオーソドックスなものから怪しげなものまでそれこそ星の数ほどあって、さながら秘宝館の如き様相を呈していた。(笑) 意識してコレクションしたわけではないが、懐かしいものもあってなかなか処分できないでいる。(^^;

 

ネーム入りヘッドシェル(プレゼント品) DENON

丁度DL-103を買った時に、ネーム入り特製ヘッドシェルプレゼントキャンペーンをやっていて、シェルに入れたい文字を書いて応募したところ、運よく当選して貰ったもの。名前のアルファベットはプリントではなく、ちゃんと彫刻機で彫られ、更に墨入れまでしてあって手間がかかっている。シェル本体もダイキャストではなく削り出しでしっかりとしたもの。当時は景品といえども凝ったものが多くあり、世知辛い現在と違っていい時代だった。
私にとっては青春時代を記念する貴重品のため、勿体なくて使っていない(笑)。

 

カートリッジ型キーパー DENON

これもキャンペーンの賞品。同社製品DL-305を質感そのままに巨大化しており、写真では見えないが、後ろ側にはリード線接続ピンが4本ちゃんと出ているという凝りよう。中にカートリッジを4個収納することが可能。単にカートリッジのオブジェとして置いておくだけでも楽しい。アナログが熱かった時代のノスタルジーを感じさせられる。

Technics SL-1200用純正オイル(SFW0010)

センタースピンドルに2000時間毎に注油する純正オイル。部品扱いなので注文しないと入手できないが200円程度のものである。代表機種としてSP-10MK2Aと表記されているので、TechnicsのD.D.ターンテーブルのほぼ全てに使用できると思う。何故かアメリカ製である。

【保管時の注意点】 一度に使う量が僅かなので何年にも亘って保管することになるが、キャップの締まりが緩いので、使用後横に倒して置いておくとオイルが漏れ出すので要注意である。オイルが漏れるとかなりきつい臭いがするし、近くにあった物に臭いが移る。

Technics SL-1200用サブウエイト SH-1200W-S (D)

SL-1200MK*用に限定発売されたサブウエイト。当時は限定ということを知らず気軽に買ったのだが、現在入手はなかなか難しい。アームとカートリッジの相性があるのでただ錘を付ければいいというものでもないが、これのおかげでいろいろなカートリッジを楽しむことが出来る。さすがに大きいサブウエイトを使うとダストカバーの縁にぶつかって閉まらなくなる。

 現在行方不明(^^;

DENON ディスクスタビライザー

下記テクニカ製と比べて小さく軽いので効果は薄いと思うが、EP盤用のアダプターとしても使用可能。

 

オーディオ・テクニカ ディスクスタビライザー AT618 (C)

レコード盤の上に載せる重し。これを使うと音がしっかりしてきて低域がよく出るようになる。使用条件によっては多少躍動感が損なわれることもあり使うかどうかはケースバイケース。大抵は良い結果が得られる。ゴムカバー付きで扱いやすい。尚、ディスクスタビライザーの使用を考慮していないターンテーブルもあるので注意。

現在行方不明(^^;

オーディオ・テクニカ ディスクスタビライザー AT673 (D)

これもレコード盤の上に載せる重しで、AT618より若干重い。片側の面には孔が大きく開けられていて、アダプターを付けたドーナツ盤にも使用可能なところがミソ。

 

オーディオ・テクニカ 湿式乾式兼用レコードクリーナー AT6018 (C)

今まで使ってきたクリーナーの中では最も性能が高い。ベルベットの毛足の植え方がレコード清掃にピッタリで、残さずきれいに埃を取り去ってくれる。本体内の海綿状スポンジを専用液で含浸させベルベットを間接的に加湿、加えて導電性繊維を配置し取っ手を介して人体にアースさせるなど二重の静電気対策が施されている。ベルベットは2面あり、一つが加湿用、他方は乾式の二段構え。その中間に導電性繊維がある。大変凝った構造なのだが、結局は人体を通じて静電気を逃がすので、人体がアースされていないと効果が半減してしまう。また、液体注入口が小さく専用ボトルを使っても注入しにくくこぼしやすいことと、パッキングの密閉性がもうひとつで、折角の湿気が隙間から漏れやすいのが少し残念。

 

ナガオカ 乾式レコードクリーナー アルジャント116 (C)

ベルベットのみなので静電気が起きやすいが手軽に使える。ただ、サイズが小さくLP全面をカバーできず、拭き上げた時に溝に埃の筋がどうしても残ってしまうのが欠点。

 

DENON 湿式レコードクリーナー AMC-10(D)

ケース底のスポンジに液体を吸収させる方式。クリーナー本体は簀の子状のプラスチック台の上にあるので、ベルベットを濡らすことなく間接的に適度な湿気を与えることにより静電気を起きにくくする。本体注入式と違って液体の量のコントロールが容易。ケースの密閉度が高く、すぐに乾いてしまうということもないし、乾式としても使える。効果が非常に高く随分愛用したが、専用液の販売終了とともに引退。専用液はテクニカのクリーナー液で代用が可能と思われる。

 

ビクター 乾式レコードクリーナー  (D)

導電性繊維で静電気を取るということなのだが、下記のカーボンブラシ式を含めて、この手のものはうたい文句とは裏腹に静電気除去効果は低いようだ。コレクションと化している。

 

TEAC ブラシ式レコードクリーナー (D)

導電性繊維(カーボン)のブラシで埃を取る方式。原理的には静電気除去効果が高そうだが、実際に使ってみると疑問が残る。多少毛が硬く傷が心配(実際にこれでCD等を拭くと細かい傷だらけになる)。毛が抜けやすいのと最終的に埃が溝に残ってしまうので殆ど使っていない。現在でもほぼ同じものが別メーカーから入手可能。

 

ナショナル 電動式レコードクリーナー (D)

内蔵ブラシをモーターで回転させて溝の埃を掻き出す方式。かなり効果があって長く愛用していたが、電池交換が面倒になってデンオンの湿式クリーナーにバトンタッチ。同じ原理を採用し、更にレコード盤の上を回転する自走式というものを友人が使っていた。因みにこれとそっくりな衣服用の埃取り器(エチケットブラシの電動版)もあった。(笑)

ナガオカ 粘着ローラー式レコードクリーナー Rolling152 (C)

特殊な粘着ローラーでレコードの埃を取る方式。ローラーを水で洗えば何度でも再生使用が可能で、ローラに弾力性があり粘着力も程々なため使いやすくクリーニング効果も高いが、放置してある程度年月が経つとローラーの表面に粘液のようなものが染み出してくるようで、これがクリーニング時にレコードに付着してノイズの原因になってしまう。この汚れは粘っこいのでアルコール系の溶剤を含んだクリーナーでないと落ちない。これを防ぐためには粘着ローラーをこまめに水洗いする必要があるので、私のようにずぼらな人にはお薦めできない。(笑)

レイカ バランスウォッシャー33 (C)

汚れ用Aと仕上げ用Bの2液式クリーナー。先ず、Aをレコードに直接滴下し付属のビスコというクロスで充分汚れを取ったら、Bで同じように拭き上げる。液はアルコール系ではないが、レコードスプレーなどの汚れも綺麗に落ちる。処理直後(1回目)の再生ではかなりチリチリとノイズが出て一瞬ガッカリするが(笑)、2回目はかなりノイズが減り、3~4回程トレースするとノイズは殆ど消えて新品のような状態に戻る。このクリーナーを使う場合には安物でよいので清掃用のカートリッジを別途用意した方がメインのカートリッジの針先に負担がかからずよいと思う。盤を傷めずクリーニング効果が非常に高いので液体式クリーナーでは一推しである。ビスコという専用クロスは使い捨てで量が少なく、別売り品の値段もちょっと高めなので、私は化粧用のコットンパフ(クリーニング効果はほぼ同等だと感じている)で代用している。78rpmレコード用もある。

ミルティ(イギリス) レコードクリーナー MI-RC200 (D)

アルコール系のレコードクリーナー。クリーナー液をスプレーで直接盤面に吹き付けて付属のクロスで吹き上げる。液はごく僅かに粘性があるが比較的短時間で乾燥する。自分は付属のクロスではなく化粧用のコットンパフで拭き上げている。クリーニング効果は高く、拭き上げた後、ノイズが増えることも殆どない。自分は基本的に液体式のクリーナーは使わない主義だが、中古で買った汚れのひどいレコードやケアレスミスで盤を汚してしまった時などにはこれを使っている。効果が高く気に入っていたのだがディスコンになったようだ。

ナガオカ スタイラスクリーナー ハイクリーン AM-801 (C)

アルコールを使用した針先クリーナー。20数年前と同じものが今でも入手できる。今までの経験から考えると針を接着している接着剤に悪影響を与えにくい良品。

 

オーディオ・テクニカ スタイラスクリーナー AT-607 (C)

アルコールを使用した針先クリーナー。こちらも息の長い製品。上述AM-801同様、針を留めている接着剤に悪影響は殆どないようである。

 

MB スタイラスクリーナー MBSC (C)

揮発性の液体を使った針先クリーナー。あっという間に蒸発するので、針を固定するカンチレバーの接着剤に悪影響を与えにくいと思う。また、ブラシの形状が良くできている。デンマーク製。現在のものは液体の成分が変わっているらしい。

 

オーディオ・テクニカ 電動式スタイラスクリーナー AT637 (D)

クリーニング用の毛先が細かく振動して針先クリーニング効果抜群。針先を照明するランプつき。単三乾電池1本で動作しターンテーブルに載せて使う。カートリッジの簡易エージング用としての用途もあるが、軽針圧カートリッジの場合、振動によって針が暴れることもあるので破損しないように注意が必要である。

 

日立マクセル 電動式スタイラスクリーナー SC-441 (D)

クリーニング用の毛先が細かく振動して針先クリーニング効果抜群。こちらは高さ調整ができるように作られている。掃除用ブラシとクリーニング液のビンが本体に内蔵でき使い勝手がよい。交換用のクリーニング液は既にディスコンで入手できないのでテクニカやナガオカのスタイラスクリーナー液で代用している。上記オーディオ・テクニカのものよりパワーがある感じだ。

 

ジュエルトーン(ナガオカ) 静電気除去器 キラボルト No.103J (D)

除去器の先端に内蔵された針先がコロナ放電を起こしてレコード盤の静電気を中和する。マイナスイオン発生器と構造が似ている。実際に除電効果は高い。しかし、ターンテーブルにレコード盤をのせたままこれを使うと、特にヘッドフォン使用時に静電気が回り込んできて感電(チクチク感じる程度だが)することがあるのでご注意。(笑)

 

テルモ ディスコグラフ (D)

何故か医療機器メーカーがこんな製品を作っていた。トーンアームに連動するスイッチレバーがついていて(アームレストからアームを外すとスイッチレバーが倒れて電源が入る仕組み)、針先使用時間を積算表示するアワーメーター。水銀体温計のような目盛り(業務用の映像・音響機器についているアワーメーターと殆ど同じもの)が端まで行くと反転スイッチで目盛りが逆方向に戻るように設定する。目盛りの進行方向を示すメータがついている。針の使用時間を知るには便利だが、別のカートリッジに交換すると積算する意味がなくなり、また置き場所の選定に困って殆ど使用せず。「目盛りがある一定の範囲を超えると故障するので注意」と説明書に書かれていた。

 

テクニクス オーバーハングゲージ SFK0135-01 (C)

SL-1200MK4に付属するパーツ。ヘッドシェルを挿入してカートリッジのオーバーハングを簡単に設定することができる。但し、テクニクスのアーム専用。部品として入手可能。

 

SHURE 針圧計 SFG-2 (C)

定められた測定条件(本機のくぼみをターンテーブルのセンタースピンドルにしっかりと入れて、測定桿がカートリッジと直角になるように設置する)さえ守れば簡単な構造ながら(故に?)実用上かなり正確に針圧を測る事ができる。測定用のウエイトがズレやすいことと見た目の作りがチャチなので精度が出ないような印象を受けるが決してそんなことはなく、実際の性能は見てくれだけでは判断できないところが面白い。さすがは名門シュアーの製品だ。精度に疑問があるとするサイトの記述もあるが、そのサイトの「精度」の方が疑問である(笑)。これで針圧を合わせると実に深みのある音が出るので手放せない。新たに購入した下記デジタルスケールを使って比較実験してみたところ本機が極めて高感度で動作することがよくわかった。3gを越える重い針圧の特殊なカートリッジを使うのでなければこれ一台あれば実用上充分である。騙されたと思って、是非お試しあれ。(笑)

デジタルスケール DIAMOND SERIES A04

ネット通販で購入した中国製の非常に安価なデジタル秤。0.01gまで計測できるため、微妙な差が音質に大きな影響を与えてしまうアナログターンテーブルの針圧計としてもってこいだ。特に、アームウエイトにつけられた目盛りの範囲外になってしまうような重針圧のカートリッジ(DENON DL-102SDなど)を使う場合に大変重宝する。勿論通常のカートリッジでも大活躍してくれるのは言うまでもない。本体が薄いので特に加工せずともそのままプレーヤーに置いて使えるし、明るいバックライトで液晶表示がとても見やすくて素晴らしい。電源は単4乾電池2本なので電池の持ちも良いし、何といっても容易に入手できるのが有難い。とはいうものの、安価な中国製、しかも外装の仕上げが雑なので測定精度が心配になるが、実際に各種分銅を乗せて確認したところ非常に正確であることがわかり、この価格で精度についても全く問題がないというのには正直言って驚きを禁じ得ず、まさに中国製品恐るべしである。(笑) 左の画像は10gの分銅を乗せて計測したものだが、キッチリ10.00gと正しい値を表示している。本機指定重量の分銅を用いたキャリブレーション(校正)も可能であるから、全く至れり尽くせりである。

さて、バネを使用したインシュレーター(スタビライザー)を備えたターンテーブル上では、バネが介在することによる、重力に対する不安定性が問題になりそうだが、実用上は無視してよいだろう(実際に本機は設置する床面(硬軟)の状態に対して測定値が異なる程非常に敏感である)。同じ外観の製品で、最小値が0.1gのものと0.01gのものとの二種類があるので購入時には注意されたし。筆者一推しの逸品である。

 

audio-technica 水準器 (D)

もともと同社製インシュレーターの付属品だったものだが非常に小型なのでトーンアームやヘッドシェルの水平を出すのに大変都合がよく手放せない。

 

DENON 水準器 (D)

接地面積が大きいのでターンテーブル本体やプラッターの水平出しなどに便利。

最終更新:2013年 4月 30日

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