SEIKO セイコークロック 電波受信確認用テスター No.7-181

これはラジオではありませんが、電波を受信して音が出る装置いうことでご紹介します。

最近の電波時計(クロック)は以前のものに比べて感度が随分良くなっているのであまり厳密に取付方向を気にしなくてもよくなりましたが、出たての頃は時計の向きが少し変わっただけで全く受信出来なかったり、内蔵デコーダーの問題なのか1時間くらい遅れ(進む)たりして特に目覚まし時計などでは予期せぬ時間の狂いであやうく遅刻しそうになったこともありました。(笑)

 このテスターは電波時計を設置する予定の場所に持っていって、そこでJJYの電波を受信出来るかどうかを確認するためのものです。九州のはがね山送信所(60kHz)が運用を始める前の初期の製品なので40kHz(福島局)しか受信出来ませんが、JJYの電波を受信するとピッピッピッと1秒ごとに音が出て、かつての短波のJJYのようにコールサイン(モールス符号)も受信出来ます。自宅は木造住宅なので比較的受信状態は良好ですが、送信所に対してバーアンテナが直角になっていないと受信状態は極端に悪くなります。新旧の電波時計を比較してみると、旧型はこのテスターで音が出ない場所では確実に受信に失敗しますが、最新型ではかなり頑張っていて受信性能の向上には驚くばかりです。また、旧型は受信開始から時刻表示まで5分以上かかることはざらでしたが、最新のものは1分強で時間を合わせてしまいます。

鉄筋コンクリートのビルやマンションなどでは建物自体がシールド効果を発揮してしまうため基本的に電波が部屋まで入ってきません。これはJJYの標準電波のみならず中波やFM放送などでも同じです。電波時計自体が高感度になっても残念ながら設置場所が非常に限られてしまうわけです。どうしても受信できない場合には、交流電気時計(電源周波数に同期する時計)をお薦めします。特に、2011年3月12日以降は東日本大震災と原発の放射能汚染の影響で福島局(40kHz)が停波しているため(私の電波腕時計<カシオ・WV-52>の記録表示では3月12日の午前6時04分に受信したのが最後です)、九州局(60kHz)の電波が届かない地域では電波時計としては機能しなくなっています。この状態が今後どれくらい続くのわかりませんが、私が使っていた旧型の40kHz受信専用の時計は腕時計、掛時計に拘わらず全てお蔵入りしています。 ※4月21日13時54分に暫定的に送信を再開したそうです。このテスターで確認したところ確かに電波がキャッチできました。 ※その後、落雷のため4月25日12時06分から再び停波中です。 ※5月14日に電波時計の表示を見たら福島局を受信していたのでテスターで再確認したところ電波を受信できました。更にホームページで確認したところ、5月13日17時32分から暫定的に送信を再開したそうです。おおたかどや山標準電波送信所は事故を起こした福島第一原発から約17kmの地点にあります。今後も原発による放射能汚染の恢復が長期間見込めないため、この際思い切って送信所を別の県に移転した方が賢明かと思われます。

さて、電源周波数同期式交流時計は嘗てはモータ式や電子回路式など色々と発売されていましたが、現在はデジタルLED表示のものが数機種しかないようです。交流時計は数秒オーダーで進んだり遅れたりを繰り返しますので、電波時計のように常にキッチリと秒まで正確というわけではありませんが、自分の経験上、数ヶ月のスパンでも±10秒以内の誤差に収まっていることが殆どで、クオーツ時計のようにある一定の割合で誤差が発生して(特に電波時計はクオーツ精度のみで使用することを前提としていないので、電波受信機能のない時計よりもクオーツ精度は悪いです)、気が付いたら数分も狂っていたなどということがないので、細かいことを気にしなければ時間合わせの手間いらずで非常に便利だと思います。私事で恐縮ですが、秋葉原で1RPM(1分間に1廻転)のシンクロナスモーターを買ってきて、電気子時計(学校や駅などで使用されている30秒ごとに運針する遠隔操作時計)用に24V有極30秒パルス(0秒時が[+][−]だとすると30秒時は[−][+]と端子の極性を転換させる。私が作ったものはパルス幅約1.5秒)を発生させる親時計もどきを自作して使っていたことがあります(このモーターはトルクが非常に小さいので色々と工夫が必要でした)。これは故障知らずで20年間連続使用しましたが、停電時以外は全く時刻を合わせる必要がないくらい正確でした。これは、交流電気時計(或いはシンクロナスモーター)自体が高精度に作られているということではなく、電源周波数が非常に正確に管理されているのでそれに同期する時計も結果的に正確になるというわけです。しかし、交流式の難点は停電があると時間がリセットされてしまうことと、時計用にコンセントが一つ占有されてしまうことで、何処にでも持っていける電池式とは違って使い勝手は多少悪くなります。

電波受信確認用テスターで受信したJJY・40kHzの信号音(途中で15分と45分に送信されるJJYのコールサイン入り)の録音。


↑本体背面の説明書