National R-025(pepper 025)

 

1978年発売の薄型ラジオで、ペッパーシリーズの中の一台です。本機は短波が受信できるので「短波ペッパー」という愛称で呼ばれていました。この他には太陽電池が内蔵された機種もあったと記憶しています。ペッパーというペットネームは、当時ピンクレディーの歌う「ペッパー警部」が大流行していたのでそれに肖ったのだと思われますし、実際に製品カタログにもピンクレディーが起用されていました。本機は無駄のない精悍な表情で、定価は14,800円です。元々手帳のようなケースに入っていたのですが、本機の入手時は本体のみでした。受信周波数に就いてはカタログ仕様上は中波が525〜1605kHz、短波1が3.925〜3.945MHz、短波2が6.055〜6.115MHz、短波3が9.595〜9.760MHzですが、実際には短波1は大体3.750〜4.250MHz位、短波2は大体5.930〜6.350MHz位、短波3は大体9.100〜10.70MHz位迄の範囲を受信できます。2.5φのモノラルイヤホンジャック装備で、電源は単4電池を3本使用します。電源スイッチは独立したスライド式でボリューム兼用のスイッチに較べて非常に使い易いです。

今ではポケットに入る薄型ラジオは珍しくもありませんが当時は非常に画期的で、私もこのペッパーシリーズは、通学中に聞きたくて非常に欲しかったラジオでした。しかし高価だったため結局は買えませんでした(当時の14,800円は今よりもずっと貨幣価値が高かったです)。本機の短波帯3バンドは日本短波放送(現ラジオNIKKEI)を聞く事を第一に念頭に置いて設計されているようですが、クリスタル受信方式ではなく、而も受信周波数の範囲に多少余裕があるので、その範囲内であれば他の短波放送も問題なく聞くことができます。但しドリフトがあるので長時間の聴取時には周波数のズレをダイアルで微調整しなければなりません(大体15〜20分位でズレ始めます)。またダイアルが重めなので微妙な感覚が要求され選局も多少やりにくいです。これは携帯時に受信周波数が容易にズレないようにする為の配慮だと思いますのである程度は仕方の無いことでしょう。短波放送をよりよく受信する為にはロッドアンテナの伸長は必須ですが、発売された時期や本体の薄さから考えると感度は想像以上に良いと思います。薄型本体に小型スピーカー内蔵なので低音域は殆ど出ませんが、その分明瞭度は高いです。音量を上げると飽和して歪みやすいので、小さめの音量で聴くのがベストでしょう。なかなか高性能なラジオだと思います。