富士電機製造 TRB-691W

1976年まで家電製品を製造していた富士電機製造(現富士電機)のテーブル型6石中波専用ラジオをネットオークションで見つけて珍しさに惹かれて思わず落札しました。このラジオには電源の整流素子としてセレン(富士電機製造はセレン整流器メーカーとして大きなシェアを持っていました)が使われておりデザインから判断しておそらく1970年くらいの製品だと思います。

 

ネットオークションでは電源が入らないジャンク品として出品されており、外装は傷や汚れが酷く内部は全く掃除されておらず汚れや埃だらけでトランジスターの金属外装ケースは錆ている始末。見た目は本当に動きそうにもないジャンクというイメージでしたが、試しに乾電池(単1型4本)を入れたらちゃんと動作したのでちょっとびっくりしました。本体のAC電源ソケットには電池と切り替えるスイッチがついており電源コードのプラグがソケットに差し込まれるとスイッチが押されてAC電源に切り替わるというお馴染みの機構です。電源プラグをよく見ると長い間差し込まれっぱなしだった所為かスイッチに当たる部分がスイッチの圧力に負けて凹んで変形しておりそのままでは確かに電源が入りませんでしたが、天地逆向きに差し込んだら確り電源が入りました。本格的にチェックする前に埃をエアーダスターで吹き飛ばし、外装や内部(基板や電子部品およびスピーカー、電池の液漏れで錆びた電極部)の汚れを徹底的に落としました。ネットオークションの画像ではごみ箱から拾ってきた直後のような感じでしたが、清掃後は新品同様とはいかないまでも見違えるほどきれいになりました。

 

肝心のラジオの性能ですが感度が抜群に良くて2度びっくりです。DXにも使えるくらいで現在最新の高感度ラジオと比べても全く遜色ありません。スピーカーの口径が比較的大きいため音質が良く、ダイアルの感触も心地よく選局しやすく目盛りもよく合っておりトラッキング調整要らずの嬉しい掘り出し物でした。富士電機製造は家電メーカーとしても優秀だった事がよくわかります。販売網がなく撤退してしまった事が残念でなりません。

 


2020年8月17日更新