SONY ICF-A100V

ソニーの所謂ホームラジオで、現行品はテレビ放送方式が地デジに変わった為に従来のアナログテレビ音声の受信機能が省かれたICF-A101に変更されています(残念ながらICF-A101も生産終了となりました)

このラジオは一見地味で少々レトロ風味が漂うオーソドックスなホームラジオなのですが、感度は最新型の専用機にも引けを取らなくらい抜群にいいです。私はリサイクルショップでこのラジオを中古品として入手しました。外観からしてもボタン操作で選曲を容易にした使い勝手重視のラジオだと思っていましたが、帰宅して実際に使ってみたらその感度の良さには舌を巻き、さすがはソニーのラジオだと感心した次第です。特に中波の感度はパナソニックのRF-U99を明らかに凌駕しています。実際に両機を同じ条件(AC電源を使った際に発生するノイズや、電力線から回り込んでくる電波で実際の性能以上に見かけ上の受信感度が上がってしまう事を避けるために電池で駆動し、全く同じ場所にラジオを置いて感度比較をしました)で中波受信テストをしてみましたが、遠方の微弱局を受信した場合U99では喋っている事はわかっても内容までは把握できなかった(アンテナの向き、ラジオの位置を充分考慮した結果)のに対して本機はちゃんと喋っている内容まで聞き取れました。U99の広帯域故の若干引っ込んだ印象の音質と比べて本機の音はある程度ナローな事が幸いしてかガンガンと前に迫ってきます。そのような音質傾向もあってプラセボ的に高感度に感じるのかなとも考えましたが、詳細に聞いてみると明らかに感度の違いがありました。選択度に関してもU99より若干ナローなので分離が良いです。先日は午後2時頃からラジオ関西(神戸)の番組を自宅(東京都内)で明瞭に受信して普通に楽しめました。遠隔地の中波放送は通常昼間には電離層の影響で殆ど受信できないのですが、その日は偶々条件が良かった所為か大変よく受信できました。同時にU99でも並行して受信テストをしていましたがこちらは同じアナウンサーの声という事はわかったものの内容についてはもう一つ判然としませんでした。本機の実力に対して、自分が最初に感じた感度の良さの印象が間違いではなかったと改めて実感した次第です。

本機独自の機能として付属の各地方向けのカードに入れ替えれば直ぐに反映されますので非常に重宝します。カードにない放送局は蓋を開けてボタンを押しながら選局することになりますが使い勝手自体は決して悪くないです。ただ、ユーザーメモリーが3つしか記憶できない事、AM難受信対策としてのFM補完放送(即ち90〜94.9MHzの領域)に対応していない事、放送周波数が大きく変更されたInter FMのような局には事実上対応できない事は不満点なのですが、放送局の周波数変更や追加については、本機(初代機)が発売された時点では想定外だったという事を考えると仕方がないと思います。少なくともメモリー記憶可能数が5つくらいあれば全く文句のつけようのない極めて優れたラジオになった事でしょう。

何れにしましても、受信感度については非常に優れた機種ですので、DX受信にも充分堪えうるラジオだと思います。その意味でも自分が実際に愛用しているという意味でも躊躇なくお薦めできるラジオです。

2019年3月16日最終更新